上顎の前歯部の審美的修復をブリッジで行った場合、時間が経過してブリッジを再生しようとしても、支台歯の破折、二次カリエス、コアの脱離、根尖病巣などで以前の支台歯を使用して、同一の設計で、もう一度ブリッジで修復できる確率は低いです。
この症例は右上大臼歯の二次カリエスでブリッジの支台歯としての機能が無くなり、ブリッジ全体が動揺するようになりました。バイトが深くなり、上顎前歯部のセラミックは破折しています。
10ヶ月経過しましたが、左上に埋入したインプラントの1本がオッセオインテグレーションを獲得できなかったので、インプラントを撤去し、再度、新しいインプラントを埋入することにしました。撤去したインプラントはZIMMER-BIOMET社のT3インプラントで、新たに埋入するインプラントは立体構造が複雑でネジ山が高いノーベルバイオケア社のノーベルアクティブインプラントを2本追加しました。
2mmのパイロットドリルでフラップレスでインプラントホールを形成します。
少量の歯肉剥離を行い最終ドリルでインプラントホールを形成します。
明示野でインプラントを埋入します。
この症例も骨が少ない場合の典型的な治療パターンです。短いインプラントを数多く埋めて前歯部は連結して即時負荷、上顎結節部は即時負荷せずにスリーピングとしました。この症例では動揺が無かった左上の第二大臼歯を仮歯と連結しましたが、結果として残存歯の隣のインプラントはオッセオインテグレーションを獲得することができませんでした。
今思うと、手前のインプラントは連結せずにスリープしておけば問題なかったかもしれませんが、その部位には2本のインプラントを追加埋入しました。追加したインプラントは2本ともインテグレーションしましたが、両方とも補綴に組み込むと、インプラントが近すぎて歯磨きが出来ないので、手前のインプラントはスリーピングとしました。
上顎396万円(税込)