手術時上顎咬合面観
既存歯に支持を求めた歯牙支持タイプのコンピューターサージカルガイドを用いてインプラント埋入を行います。
インプラントを埋入直後にサイナスリフトを行います。
上顎の左右のサイナスリフトとインプラント埋入が終了した状態の上顎咬合面観。
この時点では臼歯部は一切咬合させないことが重要です。
通常であれば、この時点でインプラントは既にオッセオインテグレーションを得られていますが、サイナスリフト部の骨はある程度は硬くなってきていますが、まだまだ成熟した状態ではありません。サイナスリフトを行った後、移植部の形態が安定し、内部に血管網が構築され、幼若な骨のネットワークが出来てくるのにサイナスリフトを行った後、移植部の形態が安定し、内部に血管網が構築され、幼若な骨のネットワークが出来てくるのに6ヶ月程度かかります。そこで、インプラントを埋入するのはサイナスリフト終了後6ヶ月待ってから行います。
サイナスリフトを行ってから7ヶ月経過していますので粘膜は十分治癒しています。コンピューターガイドサージェリーを行えば精度の高い手術を行えるだけでなく、最小の切開剥離で手術を行うことができます。
サイナスリフト部に埋入したインプラントが埋入後7ヶ月経過しましたので、全てのインプラントを連結し、以前は前歯部しか咬合させていなかった仮歯を臼歯部まで対合歯と咬合させます。
最初のインプラントを埋入した時点では、仮歯は前歯部しか咬合させません。その目的は骨質が悪い後方部を咬ませると、オッセオインテグレーションを獲得し難くなるからです。また、咬合高径は少し高めに設定することによって食いしばりを抑制し、咬合力を抑えることが出来ます。前歯しか咬めないと下顎が前方に誘導される場合が多く、関節円板が前方移動している場合は、正しい位置に戻る場合もあります。
全てのインプラントのオッセオインテグレーションが確認できた時点で、仮歯は最後方まで咬合させます。与えるオクルージョンはグループファンクションとします。咬合平面は調節湾曲を与えず、なるべく平面にします。後方まで咬ませることによって、セントリックが安定し、咬合と顎運動が安定するようになります。
この印象は最終印象では無く、印象用のコバルトクロムで鋳造した患者さん個人の為の印象用フレームを製作する為の印象です。印象用コーピングを装着した際に、印象用コーピングがアバットメントに完全に装着されていることをパノラマレントゲン写真で確認してから印象採得を行います。
技工所に発注したコバルトクロムで鋳造された印象用のフレームが出来上がってきたので、パノラマレントゲン写真で印象用コーピングが浮いていないことをパノラマレントゲンで確認した後、鋳造印象用フレームと個々の印象用コーピングとをパターンレジンで固定し、上からシリコン印象材でオーバーインプレッションを行います。
この症例は上顎の残存歯がグラグラになって義歯も安定しなくなり、食事を満足に食べることが出来なくなったという主訴でした。口腔内を見てみると義歯を外して咬合すると残存歯は動いて、下顎前歯が上顎前歯部の歯茎に当たってしまいます。
この症例も十分な骨量があれば通常のAll-on-4で治療できるのですが、あまりに骨量が少なく短いインプラントしか使用できません。とりあえず上顎前歯部に短いインプラントを6本埋め連結して噛めるようにしました。上顎前歯部のインプラントを埋入と同時に左右の上顎洞にサイナスリフトを行い、6ヶ月後にインプラントを埋入し、最終的には10本のインプラントを全て連結したボーンアンカードインプラントとして補綴しました。
上顎462万円(税込)