吉岡歯科医院
治療例から学ぶ

上顎崩壊症例(1)

他院でサイナスリフトを行なったケース

治療前

この症例は他院でサイナスリフトを行なったが、骨が出来ず、私の医院で再度サイナスリフトを行い、以前に存在したインプラントと連結してボーンアンカードブリッジとして補綴した症例です。

パノラマレントゲン写真

口元写真
口元写真(拡大)
口元写真(拡大)
口元写真(拡大)
横口元写真(拡大)
横口元写真(拡大)

口元写真
口元写真(拡大)
口元写真(拡大)
口元写真(拡大)
横口元写真(拡大)
横口元写真(拡大)

口腔内
口腔内

左右のサイナスリフトを終了した後のパノラマレントゲン写真

パノラマレントゲン写真

手術過程

右側サイナスリフト

術前写真

術前写真

右側サイナスリフトの術前

手術写真

シュナイダーメンブレンが破損しました。

手術写真

手術写真

破損したメンブレンを封鎖する為にコラテープを置いていますが、出血が全くありません。血液供給が悪いことが予想されます。これでは、骨があまり出来ない確率が高いと考えられます。

手術写真

バイオスを血餅と混和したゲルを上顎洞底に貼り付けます。

手術写真

縫合が終わった状態です。

左側サイナスリフト

術前写真

左側サイナスリフトの術前

手術写真

粘膜を剥離すると以前にサイナスリフトを行われた跡があります。しかし、残存した骨補填材は繊維組織に包まれて、周囲に骨は出来ていませんでした。

手術写真

骨化していない骨補填材と、骨補填材を取り囲む繊維組織をシュナイダー膜と共に除去すると、上顎洞内壁の状態が観察されます。

手術写真

シュナイダー膜が無いのでコラテープで骨補填材が落ちないように隔壁を作ります。

手術写真

バイオスを血餅と混和したゲルを上顎洞底に貼り付け、上顎洞内を満たします。

手術写真

上顎洞側壁の開洞部をバイオガイドで封鎖します。

手術写真

縫合終了しました。

手術内容

犬歯窩を穿刺し内容物

以前にサイナスリフトを行なって右側の上顎洞が感染し腫脹を認めたので、犬歯窩を穿刺し内容物を吸引しました。

パノラマレントゲン写真

感染を起こした右側の上顎洞にはあまり骨ができませんでしたが、骨のある場所をCTで探してコンピュータサージカルガイドを用いてピンポイントでインプラントを埋入します。そして、右側の上顎洞をCTで確認すると粘膜の肥厚が残っていたので、今回埋入するインプラントがオッセオインテグレーションを得られない場合に再度サイナスリフトを行う為、上顎洞内部を確認することにした。

手術写真

手術写真

手術写真
手術写真

半年後

パノラマレントゲン写真

半年後全てのインプラントのオッセオインテグレーションを確認しました。そこで、前医が治療した上顎前歯のブリッジを取り外し、マルチユニットアバットメントを装着し、今回オッセオインテグレーションを確認したインプラントと連結することにしました。

パノラマレントゲン写真

前医が埋入した右上のカムログインプラントの1本はフィクスチャーに亀裂があったので補綴には組み込まないことにしました。

パノラマレントゲン写真

先にフレームを作ることにしましたが、フレームにヒビが入ったカムログインプラントが接触するので撤去しました。

インプラント

パノラマレントゲン写真
フレーム試適

最終補綴物装着

パノラマレントゲン写真
レントゲン写真

最終補綴物装着(口元)
最終補綴物装着(口元拡大)
最終補綴物装着(口元拡大)
最終補綴物装着(横口元拡大)
最終補綴物装着(横口元拡大)

最終補綴物装着(口元)
最終補綴物装着(口元拡大)
最終補綴物装着(口元拡大)
最終補綴物装着(横口元拡大)
最終補綴物装着(横口元拡大)

最終補綴物装着(口腔内)

最終補綴物装着(口腔内)

リスク・副作用、費用について

リスク・副作用

この症例は他院でのサイナスリフトの失敗症例のリカバリーでした。骨ができる為にはいくつかの条件が必要ですが、血液供給と手術部位の安静というのが必須条件です。他の医院で結果が出なかった症例という場合、その多くは前医の技術不足というよりも、その患者さん自身の問題という因子が多いのです。

当院でサイナスリフトで上顎洞粘膜(シュナイダー膜)を剥離挙上したにも関わらず、骨面から一切の出血がありませんでした。出血が無いと言うことは血液供給が無いわけで、骨芽細胞の出現も無ければ、免疫機構も働かないということになります。

骨面を鋭匙でこすって出血を促した上で、骨補填材を充填しました。また、反対側の上顎洞では前医が入れた骨補填材が残っていましたが、骨補填材は異物として繊維で囲まれているだけで周囲に骨の形成は認められませんでした。この原因の一つは使用した骨補填材が化学合成されたもので、人体に骨を形成させる能力を発現させなかったことが出来無い材料であったということです。

このような症例ではBio-ossが有効です。Bio-ossは牛の骨を原料とした骨補填材ですが、非常に多くの文献で有効性が報告されています。この症例でも、感染を起こしましたが必要最低限の骨を作ることが出来ました。

費用

上顎462万円(税込)