このサイトは一般的なインプラント治療やAll-on-4(オールオン4)では無く、それでは上手くいかない症例に対して、どのような対処をして治療を完了させたかを解説しています。この症例は極端なブラキシズムに対してAll-on-4(オールオン4)を行なった症例です。
埋入直後のパノラマレントゲン写真ですが、この患者さんのように、歯牙に極端な咬耗があって、全く動揺が認められない臼歯は、極端に絶対的な動揺が少ないのでインプラント埋入時にAll-on-4(オールオン4)の仮歯に組み込むことが可能です。使用したインプラントはZIMMER-BIOMET社製のT3インプラントでした。
手術時術前上顎咬合面観
手術時術前上顎前方面観
動揺が無い歯牙にコンピューターサージカルガイドステントを装着します。
インプラント埋入直後の上顎前方面観
インプラント埋入直後の上顎咬合面観
インプラント埋入し縫合が終了した上顎前方面観
コンピューターサージカルガイドステントを用いることにより、骨整形が必要な前歯以外は無切開、無剥離のフラップレス手術でインプラント埋入を行うことができます。
仮歯は予め製作しておきますが、この症例は下顎前歯が著しく咬耗していたので、事前に製作しておいたレジンシェルを下顎前歯に接着し、仮歯が前方だけで噛むようにし、臼歯部は咬合しないようにすることが重要です。
9ヶ月後インプラントのインテグレーションを確認すると左上犬歯部のインプラントはオッセオインテグレーションをしていませんでした。この時点では下顎臼歯部の咬合面はレジン充填によって咬合平面を整えています。
インテグレーションしないインプラントが出てきたり、仮歯の頻繁な破損や咬耗状態から咬合力を支持する為にインプラントを追加埋入しました。インプラントは三次元的な抵抗力が強いと考えられるノーベルバイオケア社のノーベルアクティブインプラントを使用しました。
インプラントはコンピューターサージカルガイドを用いて行いますので、無切開、無剥離です。
結果、術後の出血や腫れはほとんどありません。
この症例の最大のリスクは咬合力が非常に強いだけでなく、クレンチングやブラキシズムなどの悪習癖があるということです。対処法としてはサイナスリフトを行い、なるべく多くのインプラントを埋入し咬合力を分散することです。
また、補綴物の破損を防ぐ為、上顎の補綴物は咬合面をフレームと一体化し、コバルトクロムをCADCAMで削りだしました。
また、対合歯はフルジルコニアで補綴しました。これといった副作用はありませんが、補綴後2ヶ月で上顎補綴物大臼歯部の前装部が破損しましたので、夜間のナイトガードは確実に使用してもらわねばなりません。
上顎462万円(税込)、下顎214.5万円(税込)