吉岡歯科医院
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クレンチングなどのブラキシズムがある患者さん

クレンチングなどのブラキシズムがある患者さんは、凄い力で噛み締めます。通常の可撤式義歯に用いる人工歯では簡単に破損してしまいます。そこで、このような場合は人工歯の咬合面に鋳造したメタルオクルーザルに置き換えて対処します。しかし、この症例ではノーベルバイオケア社に発注したCADCAMで削り出したしたチタンフレームが折れてきてしまいました。

下の写真が折れたチタンフレームです。ラボにチタンフレームが破折した原因を調査させるとノーベルバイオケア社が製作したCADCAMフレームが、ワンピースの削り出しで製作されたものでは無く、中央で溶接してあることが分かりました。ノーベルバイオケア社のスキャナーではワンピースでは読めなかったので2ピースで作成し、フレームをレーザー溶接したというのです。レーザー熔接はチタン表面しか熔接出来ませんので強度的にワンピースより劣ります。ノーベルバイオケア社のスキャナーでは読み込み不可能でも、アイサスでは問題無いことが多く、現在チタンフレームはプロセラからアイサスに変更しています。

しかし、多数のインプラントの連結症例では、アイサスよりCORE3dの方がより、精度が高いかもしれません。このようなフレームの精度の確認はインデックスモデルを製作して、模型上での精度を毎回確認することが重要です。

上の写真はフレームが破折した状態の写真です。

ザイゴマインプラントを用いたAll-on-4で、下顎も即時負荷のAll-on-4

この症例は上顎にザイゴマインプラントを用いたAll-on-4で、下顎も即時負荷のAll-on-4です。All-on-4というのはインプラント埋入と同時にフルアーチの固定式の仮歯を装着するというインプラント治療法のコンセプト名で、必ずしも使用するインプラントが4本とは限りません。下顎右下の折れたインプラントはスピーディーグルービーが発売直後に埋入した症例で、インプラントが60Nくらいでスタックしてしまい、逆回転したところ、ヘックスの部分が割れてしまい、ニッチもサッチもいかないので、感染リスクを減らすためインプラント上部をモーターで切り取り、骨内にインプラントを残存させました。インプラントは一旦スタックしてしまうと撤去することは非常に難しいのです。特に撤去が大変なインプラントは上顎のザイゴマインプラントです。を撤去しようとすると頰骨が骨折するリスクがあるからです。頰骨は骨幅が7mmしか無く、その部位に直径4mmのザイゴマインプラントが頰骨を貫通している訳ですから、撤去しようとしてインプラントをこじると、頰骨が骨折するリスクがあるのです。

インプラント治療にはいろいろなトラブルがつきまといます。

インプラント治療にはいろいろなトラブルがつきまといます。上顎は4年ほど前に全身麻酔下にて腸骨のPCBM移植材料としてサイナスリフトを行いました。そして4ヶ月後にインプラントを埋入しました。6ヶ月後の二次手術時にインテグレーションを確認しましたが、一本がアバットメント装着時に規定トルクで回ったので、スリーピングとしました。当時はインプラントを多めに埋めて、十分な数のインプラントのインテグレーションが確認されれば、必要の無いインプラントは予備インプラントとしてスリーピングさせるという時代でした。下顎はマロクリニックに研修行った1995年にAll-on-4を行いました。その後、問題無く使用していましたが、数年前にいきなりインプラント4本中3本がインプラント本体の破折、一本はアバットメントが破損し、あわてて、インプラントを追加し、即時負荷をしました。結果、全てインテグレーションしましたが、インプラントに用いられているチタンという金属はそんなに強くは無いというのが実感です。食いしばりや歯軋りが著しい患者さんは、下顎でも4本のインプラントでは力学的に耐えられない場合があるのです。食いしばりや歯軋りが著しい患者さんや顎骨がゴツい患者さんの場合で、オトガイ孔より後方部にインプラントを埋めることが出来る骨量がある場合には、下顎にはインプラントを2本以上追加した方が無難です。また、夜間にナイトガードを使用することが重要です。

注釈)下顎の骨内に残っているインプラントは、インプラントが破折して骨内に残っているものです。

上の写真はこの症例で、インプラントが中央部で破折した写真です。

上の写真はインプラント本体が破折している写真です。

上の写真は口腔内でインプラント本体が破折した状態です。

上顎にAll-on-4、下顎両側臼歯部にインプラント治療を行なった患者さんのリコール時のレントゲン

上顎にAll-on-4、下顎両側臼歯部にインプラント治療を行なった患者さんのリコール時のレントゲンです。左側最後方のインプラントには骨吸収が認められます。プラットフォームスイッチングタイプのインプラントを用いた場合でも、付着歯肉が無い部位や骨幅が狭い部位では歯槽骨の吸収がおこります。特に下顎大臼歯部においてはそのリスクが高く、骨を移植しても、GBRを行なっても、CTGを行なっても、口蓋から遊離歯肉を移植しても、必ずしも骨が安定する訳ではありません。しかし、メインテナンスが良好であれば臨床的な問題が起きることは少ないです。

注釈)インプラント治療のゴールは補綴物が装着された時点ではありません。補綴治療終了後はメインテナンスという管理が必要になります。メインテナンスでは口腔内の清掃やかみ合わせの確認、調整、異常のチエックなどを行います。口腔内はインプラント治療を行わなくても、残存歯の変化や顎堤の吸収などが起こります。残存歯が破折したり歯周病が進行したり欠損したりした場合は、咬む荷重や食いしばりなどの荷重が全てインプラントにかかり、インプラント周囲の骨が吸収したり、インプラントや補綴物が破損する場合があります。大きなトラブルになった後では、修復も難しく大掛かりなことになりかねません。インプラントを長期に良い状態で使用する為には治療後の定期点検とメインテナンスはかかせません。患者さん本人がするべきことは、定期的なメインテナンスを歯科医院で行うこと、毎日の入念な口腔内清掃、夜間のナイトガードの装着です。

ニユーオータニでヨシダ主催の新年会

ニユーオータニでヨシダ主催の新年会がありました。ヨシダは日本国内では歯科器材の輸入ディーラーとして、そしてチェアやCTなどの製造メーカーとして現在国内で最も力のあるメーカーです。

毎年正月明けの最初の土曜日は歯科では最大のメーカーであるヨシダの新年会が東京のホテルニューオータニで開催されます。全国の有名な先生方や日頃おつきあいのある先生方と再開できる楽しい会です。

注釈)インプラントを勉強する上で、欠かせないのが友人達からの情報です。いくら個人で本と論文、学会で勉強していても正しい知識は身につきません、やはり、同じインプラント臨床を行なっている先生方と切磋琢磨することによって偏ることのない、バランスのとれた知識と考え方が身につきます。