欧米では頻繁に行われる自家骨ブロック骨移植であるリンググラフトを日本人に応用する場合
欧米では頻繁に行われる下の写真のような自家骨ブロック骨移植であるリンググラフトを日本人に応用する場合、自家骨グラフト片を骨頂位置を上げるような高い位置に設置すると、当初は減張切開した弁が問題なく生着しても、1ヵ月程度で弁に穴が空き、自家骨グラフト片が露出して、ネクローシスになり生着しないことがしばしばあります。
注釈)インプラント治療を行う上で十分な骨が足りない場合は骨量を増やす為に骨移植やGBR、サイナスリフトなどを行います。骨移植において王道と言われる方法は自家骨移植です。自家骨移植の基本としてブロック骨移植があります。これは塊の自家骨を下顎骨頬棚部からピエゾサージェリーなどで切り出して母骨にスクリュー(ネジ)で固定して用い、移植骨が移動することを防ぎ、骨造成のスペースを確保するテンティングスクリューの役割をも果たします。反面、ブロック骨移植は創が開いたりした場合など、移植骨が感染して壊死したり、吸収して無くなってしまうリスクもあります。また、ブロック骨移植が成功したとしても、自家骨移植である以上、術後の生理的骨吸収を止めることは困難です。また、骨採取に伴う神経麻痺や腫れ、感染、疼痛などの合併症を回避する為、現在では自家骨移植からバイオスを使用した異種骨移植に移行してきています。