治療方針を学ぶ

使用するインプラントの数について

当初の治療方針の建て方が非常に重要

吉岡院長

歯科インプラント治療は患者さんの現状をなんとかしたいという想いを叶える為の治療方法の一つです。

しかし、インプラント治療が患者さんの期待通りの結果を得ることが出来、また、その結果が長く続く為には、当初の治療方針の建て方が非常に重要となります。

例えば…

インプラント

口腔内全体の崩壊が進んでいるような状態に対して、1本や2本のインプラント埋入で良い結果と長期に渡る安定を得ることは不可能です。重たい荷物を運ぶトレーラーのタイヤの数は乗用車の4本のタイヤよりずっと多いのです。もし、トレーラーのタイヤが4本しかなかったら重い荷物に耐えられずタイヤはパンクしてしまします。

インプラントも同様で、オッセオインテグレーションを獲得しても、インプラントを支えている骨にマイクロクラックが入ってオッセオインテグレーションが壊れてインプラントは脱落してしまいます。

インプラント治療は高価な治療なので少ないインプラントでなんとかしようとする考え方がありますが、それではトラブルが頻発しインプラント自体も長持ちしません。基本的には奥歯については喪失した歯牙の数と同じだけの数のインプラントが必要だと考えられています。

患者さんの骨の状態は人によって様々です。骨はガラスのような均一な構造では無く、ヘチマやスポンジの断面のように、骨の内部は骨梁という骨の部分と、柔らかい骨ではない部分からできているのです。骨梁が密に配置された部位と骨梁があまり無い部分があります。骨の密度にばらつきがあり、骨粗鬆症で無くてもスカスカな骨の部分は誰でもあるのです。インプラントに負荷がかかるのは食事中ではありません。睡眠中に無意識で行う「くいしばり」が最も大きな負荷です。くいしばりの習慣がある人は、無い人に比較して10倍以上の負荷がインプラントにかかります。

インプラントにかかる過度の負荷は補綴物を破損させるだけで無く、アバットメントやインプラント本体、またインプラントを支えている骨梁を破壊し、オッセオインテグレーションを破壊しインプラントを骨から脱落させることになります。

インプラントを建築で例えると、高層ビルを建設する場合、強固な地盤と軟弱な地盤では必要な基礎工事の杭の本数や長さは大きく異なります。また、地震がほとんど無い国と日本のように地震がよく起こる国では、適正な設計の基準は大きく異なります。インプラントは高層ビルを支える地盤に打ち込む杭と同じような考え方です。十分な長さの太い杭を沢山埋めることにうよって、より高い高層ビルを建てることが可能になり、地盤が軟弱だったり、地震が多い国では、より長くて沢山の杭が必要になるのです。

インプラントの適正な数

インプラント

人間の永久歯は親知らずを除くと28本あります。

自分の歯が1本も無い場合、必要なインプラントの数はインプラント同士を連結しない場合は28本のインプラントが必要です。しかし、インプラントを連結した場合、インプラントのオッセオインテグレーションを壊しやすい側方からの力を制御できるのでインプラントの数を減らすことが出来ます。今までのデータで、28本分の歯の機能をインプラントで行う為に必要なインプラントの適正な数は上顎では8本程度、下顎では6本程度と言われています。

また上下左右の最後方の4本の場所に咬合を与えない場合は下顎では多くの場合4本のインプラントで治療が可能だと考えられています。

反面、骨質が悪く、十分な長さのインプラントを使用することが難しい上顎においては4本のインプラントで長期の安定は難しい場合が多いと考えられており、長期の安定の為には最低でも6本から8本以上のインプラントの使用が妥当だと考えられています。

なお、歯列全部をクロスアーチで連結しない場合は前歯部では6本の欠損に対して3本から4本が妥当な本数ですが、小臼歯から大臼歯に渡る連続した4本の欠損の場合は4本のインプラントが望ましいと考えられています。また、連続した欠損に対しては、インプラントを連結した方が、負荷が分散されるので骨質が悪い部位に埋入したインプラントのオッセオインテグレーション喪失のトラブルが減少することと、ネジの緩みによる問題が激減することが分かっています。