治療例から学ぶ

上顎臼歯部のインプラント(2)

上顎臼歯部のインプラント

サイナスリフト(ラテラルアプローチ)のソケットリフト(クリスタルアプローチ)に対するメリット

サイナスリフト(上顎洞底挙上術)は上顎臼歯部のインプラント埋入にかかせない手術です。
上顎臼歯部を抜歯すると抜歯後に歯が埋まっていた歯槽骨が吸収し歯槽骨頂部から上顎洞底までは5mm程度しか残りません。1~2mm程度しか骨が残存していないことも珍しくありません。インプラントが長期に安定する為には10mm以上の長さのインプラントを使用することが望ましいことが多くの論文から分かっています。また、インプラントの先端部から上顎洞底までは2mm程度の厚みの骨が必要で、その骨量が確保出来ないと、風邪などで一時的に上顎洞炎に感染した時、インプラント本体も感染し、永続的な感染源になってしまうと言われています。

サイナスリフトにおいて10mm以上の骨を造ろうとするとシュナイダー膜を10mm以上挙上する必要があります。
しかし、安全にシュナイダー膜を10mm以上挙上する為にはソケットリフト(クリスタルアプローチ)という術式を用いるとシュナイダー膜が破損し骨補填材が上顎洞内に溢れ散らばり上顎洞炎の原因になる可能性があります。また、ソケットリフトの一般的な術式は最終的にはインプラントを同時に埋入することが一般的で、骨補填材だけで無く、インプラント本体が上顎洞内に落下してしまうという事故が多発しているのが現状です。安全性と長いインプラントの使用、インプラント先端部の骨の存在などを考えるとサイナスリフトはソケットリフト(クリスタルアプローチ)では無く、ラテラルアプローチで行うことが重要です。

サイナスリフト(ラテラルアプローチ)はソケットリフト(クリスタルアプローチ)と違い、実際に手術を目で見ながら行う手術です。
シュナイダー膜が破れた場合は縫合して穴を閉じることが出来ます。穴を完全に閉じることが出来ない場合はコラーゲンメンブレンで穴が開いた部分を閉鎖した後に、骨補填材を入れることが出来ますので骨補填材が上顎洞内に散らばることを防ぐことが出来ます。また、インプラント埋入はサイナスリフトが終了し6ヶ月が経過して骨が出来てから行いますので強固で安全で長持ちするインプラントとなります。ソケットリフト(クリスタルアプローチ)では手術は見ながらでは無く、手探りで行いますので、シュナイダー膜が破れたことも分かりませんし、シュナイダー膜を修復することも出来ません。全ては手術が終わった後にCTを撮影して分かりますが、分かった時には時既に遅しなんです。

サイナスリフト(ラテラルアプローチ)の術中にシュナイダー膜が破損し、破れたシュナイダー膜を縫合し、残った穴をコラーゲンメンブレンで閉鎖している術中写真

術中写真
術中写真
術中写真

術中写真
術中写真
術中写真

リスク・副作用、費用について

リスク・副作用

サイナスリフト(ラテラルアプローチのサイナスリフト)やソケットリフト(クリスタルアプローチのサイナスリフト)のリスクは上顎洞粘膜(シュナイダー膜)剥離挙上時に上顎洞粘膜(シュナイダー膜)が破れることです。

ソケットリフト(クリスタルアプローチのサイナスリフト)の場合は上顎洞粘膜(シュナイダー膜)を5mm以上挙上すると75%上顎洞粘膜(シュナイダー膜)が破れるという報告があります。

そのような訳でソケットリフト(クリスタルアプローチのサイナスリフト)のリスクは破れた上顎洞粘膜(シュナイダー膜)の補修も不可能ですし、術中に上顎洞粘膜(シュナイダー膜)が破れたこと自体を気がつかないことが一般的です。そのままインプラントを埋めてしまうとインプラントの上顎洞内への脱落から慢性上顎洞炎という副作用を引き起こします。

費用

サイナスリフトにかかる治療費は片側30万円