治療例から学ぶ

前歯のインプラント(1)

前歯のインプラント

前歯部のインプラントは臼歯部のインプラントとの大きな違い

前歯部のインプラントは人の目に触れるということです。魅力的な笑顔の為には口元は重要です。
マスクをした笑顔というのはあまりイメージできないと思います。笑顔に必要な条件は歯だけでは無く、歯肉、つまり歯茎の状態が重要です。

また、歯と歯の間には歯間乳頭と呼ばれる歯肉が歯と歯の間の空間を埋めていることが素敵な笑顔の条件です。
歯周病が進行すると歯間乳頭が消失し、歯と歯の間に隙間が空きます。隙間は暗く見えますので欧米ではブラックトライアングルと呼ばれ酷く嫌われます。このブラックトライアングルの存在は「老人」を連想させるからです。このブラックトライアングルをなくす為には歯間乳頭が存在している必要があります。それが前歯部インプラントに必要な条件なのです。

2003年の治療前

治療前写真
2003年の治療前の状態

レントゲン写真
インプラント埋入する直前のレントゲン写真

レントゲン写真
インプラント埋入する直後のパノラマレントゲン写真

2019年 インプラントを埋入から16年経過

レントゲン写真
インプラント埋入から16年経過した時点

レントゲン写真
インプラント埋入から16年経過した時点

最終補綴物が装着後の経過

2004年最終補綴物が装着されインプラント治療が終了時点での正面観

最終補綴物装着(口元拡大)

2010年最終補綴物が装着され6年経過時点での正面観

最終補綴物装着(口元拡大)

2019年最終補綴物が装着され15年経過時点

最終補綴物装着(口元拡大)
正面観

最終補綴物装着(口元拡大)
前歯部の咬合状態

最終補綴物装着(口腔内)
咬合面観

シュミレーションソフト設計図

この症例は15年前に右上側切歯にインプラント埋入手術を行いました。
15年経過した現在でも機能的にも外観的にも全く問題はありません。しかし、現時点での前歯部の咬合状態の写真を見ると右上側切歯の歯根部の骨が反対側の左上側切歯と比較すると著しく吸収していることが分かります。機能的にも外観的に問題が起こっていないのは、時間が経過すると、そこまで骨が吸収するということが手術を行う時点で分かっていて、15年先を予測した位置にインプラントを埋入したから、現在でも問題となっていない訳です。つまり、インプラント治療に重要なことは先を予測できる術者の頭脳だということになります

シュミレーションソフト設計図

15年前、インプラントを埋入する時点でシムプラントというインプラントシュミレーションソフト上でインプラント埋入位置を設計した図ですが、インプラントの埋入位置の設定は両隣の歯牙の位置に対して著しく内側に位置しているのが分かります。

インプラントと歯牙の一番の違いは、インプラントには歯根膜が無いことです。歯牙を失うと歯根膜を失います。
歯槽骨は歯と歯根膜を失ったその瞬間から半年で前歯部歯槽骨は体積の70%を失います。そのことを完全に理解しているか?どうか?が前歯部インプラント治療において非常に重要なのです。

リスク・副作用、費用について

リスク・副作用

前歯部におけるインプラント治療の最大のリスクは長期にわたる審美性の獲得と維持です。歯を抜いた場合、その歯を支えていた歯槽骨は時間とともに吸収して痩せていきます。結果、インプラントが口腔内に露出してしまうということが起こるのです。

抜歯即時埋入即時負荷などを行った場合は、インプラント体の露出だけで無く、インプラントのインテグレーションを得ることさえ難しいのです。抜歯即時埋入を行う場合は事前の診査をコンピュータ上で徹底的に行い、コンピュータガイドサージェリーを有効に使うことが必要です。

また、十分な骨が無い場合にはGBRや骨移植、結合組織移植を行うことが必要です。それらを行わずリッジエキスパンジョンなどで一時的に骨幅を増してインプラントを埋入すると、高い確率で骨が吸収して後からインプラントが露出するという副作用がありますので、基本的にはGBRや骨移植、結合組織移植を併用するという術式を取ることが重要です。

費用

GBRや骨移植、結合組織移植などの費用は一箇所30万円